8日(月)に宝塚大劇場での千秋楽を迎えました。千秋楽おめでとうございます。星組の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。東京公演までしばしの休養を。
8月21日付には、妃月 ゆめさんが退団、12月27日(花組東京宝塚劇場公演千秋楽)付で、副組長のふみかさん(紫峰 七海)ほか、マキシム(真輝 いづみ)、ひな乃ちゃん(姫歌 ひな乃)がご卒業となります。東京公演千秋楽が笑顔で迎えられますように。そしてこれからの人生にも幸多きことを、お祈り申し上げます。
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さて、1か月ぶりに前楽を観劇しました花組公演『新源氏物語』ですが、1か月経ち、印象ががらりと変わっていました。
花乃まりあのなよやかで美しい藤壺の女御に、知性と理性の芯の強さが加わり、明日海りおの光源氏と気持ちが一致していた。藤壺の女御は、光源氏の熱情に押し負けたのではなく、自らの意志で、光源氏を選ぶ強さを見せた。
これにより、『新源氏物語』における光源氏にとっての藤壺の女御の存在が、他の女人達より重みが増した。
藤壺の宮が、光源氏の永遠の人として彼の心を占め続けているが故に、他の女人に対する態度に虚ろさが出る。その虚ろさを肌身で感じ取るがゆえの六条御息所(柚香光)の哀しみであり、正妻として対外的な地位を持つ葵の上(花野じゅりあ)の誇りがある。
紫の上(桜咲 彩花)は、上記の三者との愛憎関係を終えた光源氏の拠り所であり、朧月夜(仙名 彩世)との逢瀬を理由に明石に流された光源氏の帰るべき場所であった。
しかし、最終的に三の宮(朝月 希和)の降嫁でその関係にゆらぎが生じる。紫の上も三の宮も、藤壺の女御と血縁関係があり、光源氏には「あの方に似ているかもしれない」という微かなやましさがそこにある。
藤壺の女御への愛着が最上位にあるからこそ、光源氏が数多の女人を渡り歩き、愛を探して歩く姿にも説得力があり、光源氏の華やかな人生に包含される虚しさを醸し出す。その図式がまだ見えてこなかった初見時には、明日海りおの光源氏のみが浮かび上がり、「罪に自己陶酔しながら遊び歩く」と見えなくもなかった。しかし、光源氏への反発を感じさせては「源氏物語」は成立しない。
東京公演でのさらなる充実をお祈りします。他のキャストに全然触れられなかったので、(3)に続きます。