いったろう、不死身だって。年もとらない。病気も大ケガもしない。わたしたちが生きていくためには、すこしばかりの…
人間の血(エナジイ)がいるだけだよ。
老ハンナ / メリーベルと銀のばら / ポーの一族(小学館)萩尾望都
「永遠のこども」というアイディアを書くために萩尾望都氏が選んだのが、吸血鬼という存在である。バンパネラはマンイーター、人間のエナジィと赤いバラを食用にする。エナジイは、「血」であり「生気」である。
花組版では、バンパネラになったばかりのエドガー(明日海りお)は、コベントガーデンで花売り娘のディリー(音くり寿)のエナジイを吸う。音くりちゃんのディリー(ソロがあって印象的だった)のその後は判らないが、原作でエドガーに最初にエナジイを吸われた少女ディリーは死んでしまう。
騒ぎになり、エドガー達は町を出る。人間からバンパネラに変化すると意識も変わるらしい。
人ひとり殺しても後悔もないなんて。
まるで、この手と同じように冷たい。
エドガー(前掲書)
ポーツネル男爵は、エドガーを叱り飛ばして、言う。
みのった麦を刈って、人間が生命をつなぐなら、われわれは人間を刈って、生命をつないでいる。ただ、われわれの麦は知恵を持っている。あなどるとこちらがやられる。
ポーツネル男爵(前掲書)
吸血鬼のイメージを一変させた幽玄で繊細、美しく残酷な世界『ポーの一族』。