[Zuka] 踊るなら選んだ相手と~2014年花組『エリザベート 愛と死の輪舞』

花組公演『エリザベート』千秋楽おめでとうございます。花組の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。しばしの休養を。

91115時の回で動員200万人を達成し、大人気で当日券は毎日長蛇の列だったとか。『ベルばら』『風共』に続く、宝塚歌劇の代表作ですし、新トップスターお披露目、トップ娘役退団公演であれば当然かもしれません。

蘭ちゃん始め、一花様(桜 一花)、きららちゃん(春花 きらら)、がりんちゃん(大河 凜)、なおみちゃん(花奈 澪)、みみたん(美蘭 レンナ)の退団の皆様を賑々しくお送りできて良かったと思います。 幸せと楽しさをありがとう。これからの人生にも幸多きことを、お祈り申し上げます。

東京公演千秋楽まで笑顔で過ごせますように。

(花組)


桜 一花 (娘役95期生)
春花 きらら (娘役91期生)
蘭乃 はな (娘役92期生)
大河 凜 (男役93期生)
花奈 澪 (娘役93期生)
美蘭 レンナ (娘役95期生)


2014年11月16日(花組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団

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花組『エリザベート-愛と死の輪舞』
花組『エリザベート-愛と死の輪舞』

パンフレットの表紙を飾る明日海りおのトート閣下は、優しい瞳をしている。舞台ではその瞳がギラリと輝き、一瞬にして狂気を帯びた顔になる。それは、黄泉の帝王トート(明日海りお)、またの名を「死」、が生きたただ一人の人間の心を手に入れたいと恋い焦がれるときである。

黄泉の帝王が、事故で死にかけたバイエルン公女エリザベート、愛称シシィ(蘭乃はな)の命を救い、「生きたお前に愛されたいんだ」と願う。死者を統べる王が、己の意のままにならない生者の愛を求める。それが「狂気」でなくてなんであろう。だがオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世(北翔 海莉)に見初められたシシィは、16歳で結婚、オーストリア皇后となってしまう。黄泉の帝王トートは愛する者を横取りされた怒りを込めて、ハプスブルク帝国の終焉を告げる。

皇后となったエリザベート(蘭乃)は、姑であり、オーストラリア帝国で絶大な権力をにぎる皇太后ゾフィー(桜一花)とそりが合わず、ゾフィーの意見に従うフランツ(北翔)とも距離を置くようになる。

例え 王家に嫁いだ身でも


生命だけは 預けはしない


私が生命 委ねる


それは 私だけに


私に



歌詞 ミヒャエル・クンツェ 音楽シルヴェスター・リーヴァイ

華奢な身体を白いドレスに身を包み、シシィのソロ曲「私だけに」を歌う蘭乃はなからは、一期一会という気迫が伝わってきて、身震いがした。真飛聖、蘭寿とむ、明日海りおと三代に渡る花組トップの相手役を支え、辿り着いた退団公演の『エリザベート』にかける彼女の思いが溢れる「私だけに」が素晴らしい。

明日海トートとのデュエット曲「私が踊る時」や北翔フランツとの「夜のボート」も良いんですが、ソロ曲「私だけに」は花組トップ娘役としての意地と誇りが詰まっている気がした。蘭ちゃん、そうでなくっちゃ!

そして「人の心を持つ、黄泉の帝王」。そんな印象を持った明日海トートは、狂おしいまでにシシィ(エリザベート)を追い、とうとうエリザベートを腕に抱く。伴侶を得て満ち足りたトートと全てを捨て去り安らかになったエリザベートが、最後に二人で歌う「愛のテーマ」に釘付けになる。

「死は逃げ場ではない!」。トートがエリザベートに言うこのセリフは矛盾だらけである。死とはなんなのだろう?死を愛する?愛する者を死に追い込む?

人ならざる黄泉の帝王トートに宿った人の心。熱情と狂気のこもった明日海りおのトートだった。

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みっさまフランツとかだいもんルキーニについても書きたいんですが、本日はこの辺りで。

■主演・・・明日海 りお、蘭乃 はな

三井住友VISAカード ミュージカル
『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』
脚本・歌詞/ミヒャエル・クンツェ
音楽/シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナル・プロダクション/ウィーン劇場協会
潤色・演出/小池 修一郎

[解 説]
上演回数799回、観客動員数192万3千人――今や、宝塚歌劇を代表する人気ミュージカルとなった『エリザベート』を、宝塚歌劇100周年を記念し上演します。一人の少女がオーストリア皇后になったことから辿る数奇な運命に、黄泉の帝王という抽象的な役を配した独創的なストーリーから成り、美しい旋律で彩られたミュージカル・ナンバーは高い音楽性を持ち、多くの人々を魅了してきました。世界各地での海外上演に先駆け、1996年に宝塚で初演されてから、今回で8度目の上演となります。花組新トップスター明日海りおがトート役を演じる大劇場お披露目公演です。