ふみかさん(紫峰 七海)花組副組長に就任決定おめでとうございます。みっさま(北翔海莉)のディナーショー『Music パレット』開催とみつる(華形 ひかる)の宝塚巴里祭2014主演決定もおめでとうございます。
雪組トップスター・壮 一帆 退団記者会見 ←トップ就任2年足らずで中日1作品、全ツ1作品、DC&青年館1作品、本拠地3作品はフル回転だったと思う。アンドレ特出もあったし。壮さん、ありがとう。休む暇もないと思うけれど、もう少しだけ組子とファンのためにいてやってくださいね。
退団公演の『一夢庵風流記 前田慶次』ポスターが素晴らしすぎる。「散らば花のごとく」。大野先生、楽しみにしています。
蘭寿さんの退団公演の、ひとまず メガステージの感想です。
ベテランレビュー演出家の岡田敬二氏は、著書『ロマンチック・レビュー』(阪急コミュニケーションズ)で、レビューとショーの違いについて以下のように述べている。
私は、レビューは「時代劇」、ショーは「現代劇」だと思っている。レビューはその語源の通り「振り返る」。1年を振り返る歳末精算劇から始まったのに対し、ショーはまさにその時代を反映したトレンディーなものだと思っている。
私は、レビューもショーも作っているが、内容やテーマは勿論だが、装置や衣装の材質にもレビューとショーでは区別するようにしている。(p.10)
本公演のメガステージ『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』の作・演出を手がけた齋藤 吉正氏も明確に、レビューとショーを区別しようとしていることが窺えた。前半(第1場~第7場)は近未来的で都会的なイメージを取り入れたショー(現代劇)、後半(第8場~第18場)は宝塚歌劇の伝統的な優雅で気品のあるスタイルのレビュー(時代劇)という構成である。
幕が上がり、夢眩蜘蛛(ムゲンスパイダー)に扮した明日海りおが歌い、蜘蛛女達が舞う。どうやらムゲンスパイダーは闇に巣くう帝王っぽい。ムゲンスパイダーに囚われの身となっている夢眩宮殿(MUGEN PALACE)の夢眩王子や王女達の前に、夢眩神(ムゲンゴッド)・蘭寿とむと夢眩女神・蘭乃はなが現れ、呪縛を解いていく。眩しい光を発しながら踊る組子達。晴れやかに微笑むトップコンビ。夢眩ショータイムの始まりである。
場面が切り替わり、カラフルなアロハシャツを着込んでLoveハンティング・MUGEN TOURSに出かける旅人達(華形 ひかる・望海 風斗・芹香 斗亜)が現れる。旅先では、美女(桜一花)に気を取られ、婦人達(悠真 倫・天真 みちる・羽立 光来)に言い寄られながら、釣り堀で釣りにいそしんでいると、なんと釣り針に引っかかったのはマーメイド(蘭乃はな・桜咲 彩花・華雅 りりか)だった!
コミカルでキュートで、一息つける場面である。ロケット(ラインダンス)の組み込み方が新鮮だった。マーメイド達が海にさざめく波を表現し、ロケットもその一部となっている。ロケット単体で踊るのではなく、ひとつのストーリーを盛り上げるのに効果的に使われていた。この場面では、みつる(華形)と一花様(桜)がやたらと可愛くて萌えた。蘭はなちゃんのマーメイドがコケティッシュで素晴らしかった。新たなる魅力を発見した。
そして「マイケル・ジャクソンが選抜したダンサー」、「マドンナの元専属ダンサー」という華々しい経歴を持つ・KENTO MORI氏振り付けのMUGEN CITYへ。夜の街MUGEN CITYにやって来た狼の血を引く銀狼(蘭寿とむ)は、盲目の花売り娘フローラ(朝月 希和)と出会う。その二人をMEGA KILLER(明日海りお)とMEGA KING(高翔 みず希)が襲う。銀狼の影(水美 舞斗)を配し、シャープでダンサブルな場面を繰り広げる。
近未来的なイメージのスリリングな演出、銀狼に扮した蘭寿とむが幅わずか120cmの銀橋で繰り広げる見事なダンス・パフォーマンスは、マイケル・ジャクソンの名作Thrillerを彷彿とさせる。蘭寿さんが自らの動きに集中して無心で踊っている。銀狼の衣装を身にまとい踊る蘭寿さんの美しさに息をのむ。無我の境地ってこういうことを言うんだなぁと、いやもう本当に無言で見つめるしかない場面だ。
MUGEN LOVERSは、蘭乃はなと望海 風斗が真っ赤なお衣装で「Preserved Roses」(水樹奈々×T.M.Revolution)を歌っていたのがひたすら格好良かった。望海 風斗がどんどん凄みを増していくのだが、この人ちょっとどこまで行くつもりだろう。手に汗握って注視している。
ここまでが前半(第1場~第7場)で、現代劇にしても趣味が偏っている気もしなくもないが、この方面が好きな人も多いので、100周年で新規顧客の開拓には丁度いいかもしれない(が、長年のヅカファンには抵抗がある人もいるんじゃ、とは思う)。
後半(第8場~第18場)は、クラシカルなレビューMUGEN DIAMANTEに切り替わる。蘭寿とむの歌声が響く中、高翔 みず希組長を筆頭とした花組子達の群舞が感動的なスパニッシュ・メドレーの中詰めだった。他の場面もそうだけど男役では中堅どころの夕霧 らい、月央 和沙、瀬戸 かずや、冴月 瑠那、鳳 真由が頼もしい。娘役では桜 一花、華耀 きらり、芽吹 幸奈。下級生も楽しそうだし、次期トップ明日海りおの銀橋での歌「愛のロマンス」も華やかで似合っていた。
第12場・夢眩少女は、明日海りおと仙名 彩世の組み合わせだったが、仙名 彩世のダンスの切れはすごい。こんなに踊れる人だったのね!(←遅いって。ごめんなさい)。その後の8thステージ「無限の愛」は、蘭はなちゃんと娘役たちの「新世界より(交響曲第9番)」(ドヴォルザーク)に乗せた歌(←斉藤先生のオリジナル歌詞でした)が心安らぐ。そして羽山紀代美氏振り付けの黒燕尾での男役群舞!!感動的だった。蘭寿さんとよっち(月央)が二人で踊るところは必見。
メガステージ『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』は、トップスターの退団を惜しむというより、蘭寿とむの新たなる門出を祝うステージですね。退団者のための場面もあって、細やかな心遣いが嬉しい。
(しかし前半と後半でムードが違いすぎるのは計算づくなんですよね?ね?そういうことにしておくと幸せです)。
『ラスト・タイクーン』の感想はまた次に。シアター・ガイド3月号に掲載されていた七海さんの記事についても触れたいのだが、時間切れ~。
メガステージ『TAKARAZUKA ∞ 夢眩』
作・演出/齋藤 吉正
[解 説]
これまで培われてきた宝塚独自のレビュー、ショーに、時代を反映した洒落たセンスを織り込み、100周年以降のレビュー、ショーの新たな形式を提示する意欲的なステージ。 “眩しい夢”の数々が“無限”の可能性に満ちた100周年となるよう、願いを込めた舞台です。