[Zuka] 2013年花組『New Wave! -花-』

”花組若手メンバーによるフレッシュなショー!“ということで、大半が花組新人公演メンバー(研7年以下)で構成されたレビュー。「ワカテが一丸となって大海原に突っ込んでいく。そして新しい波を起こす!それがこのショーのテーマで、目標で、全てです」、「上手にやろうとは誰も思っていません。しかし、出せる力を出し切る覚悟だけは共有しています。そんな22名をよろしくお願いします」という作・演出の三木 章雄氏の言葉が温かくて微笑ましい。

どんな場面でも全力で華やかなエンターテイナー・EXCITERに徹する花組は、個人的に「エンターテインメントの花組」と認定している。今回も期待を裏切らず、いやバウホールという舞台と客席が近い空間で、花組子達のエンターテイナー・EXCITER度は加速器を付けて急上昇した。

望海 風斗の真ん中に立つ心意気と見事なスターっぷりが発揮され、瀬戸 かずやは落ち着いているが中味は熱く、芹香 斗亜は小悪魔的にお茶目さを振りまき、三者三様の個性で、会場を熱狂の渦に巻き込んだ。ワカテが適材適所で、がんがん歌い、がんがん踊っている様は楽しい。トークタイムやメンバー紹介があるので身近に感じられた。本公演では出番の少ない下級生の晴れ舞台を見てバウやDC公演の良さを噛みしめる。もちろん歌やダンスはまだまだ磨きようがあるのだろうけれど、荒波に向かって突っ込んでいくという、花組子達の気概がビンビン伝わってきた。

1幕は花組の懐かしいレビューからセレクトされた名曲を歌い継ぎ、名場面が次々と現れる。I-3 Heat Wave「美麗猫」~「ミラロケット」では娘役のロケットで、にゃーとか娘役がそろって鳴くのにノックアウトされた。Ⅰ-5サンセットでは、瀬戸かずやのダンディーぶりと冴月瑠那の妖艶さが見事。2幕はビリー・ジョエルやマイケル・ジャクソン、ビートルズなどの名曲をメドレーで。望海 風斗の歌声はいつも聞き惚れる。全体として芹香 斗亜が伸び伸びとして弾けていたのが印象にのこる。

ラストの「New Wave!~今だから~」で、若手達が「一つに~!!一つに~!!一つに~New Wave!」と踊るさまは感動的だった。

冴月瑠那は表情が豊かで表現力がある。そして真輝 いづみ羽立 光来和海 しょうは、ソロあり。歌うまさんだった!娘役では桜咲彩花仙名彩世の歌うま・演技巧者ぶりも存分に発揮されていた。水美 舞斗は舞台度胸があるので、お芝居が上手くなりそうな予感がする。柚香 光は挑戦心が旺盛でダンスが目を引く。情感と色気を身につけると一気に1万ポイントくらい加算されそう(笑)。

以前、鳳蘭さんが、「ミュージカルは役の人物として踊って歌う。レビューは、鳳蘭が歌って踊る。そこが大きな違い」と仰っている記事(ZAKZK2005/04/02)を読んで、芝居(ミュージカル)とレビューの位置づけに納得したのだが、それに加えて、最近はレビューで輝けるようになるのは、自分に自信が出てきたときに、観客の前で自分をさらけ出せるようになるのかな、と思って見ている。芹香 斗亜は、三木氏に「根拠のない自信を持ってやりなさい」とアドバイスされたようだが、そういう当たって砕けろの心意気も大事だし、この舞台の成功体験が確かな自信に繋がっていくと思う。

いまの花組に来ているBig Waveをものすごく感じたレビューだった。 演奏は宝塚ニューサウンズによる生演奏で舞台が盛り上がると演奏も反応する。聞き応えあり。

『New Wave! -花-』ポスター
『New Wave! -花-』ポスター
バウ・ショーケース『New Wave! -花-』
作・演出/三木 章雄

宝塚バウホール公演
公演期間:12月12日(木)~12月22日(日)

 

出演者

  • 望海 風斗
  • 瀬戸 かずや
  • 冴月 瑠那
  • 芹香 斗亜
  • 菜那 くらら
  • 真輝 いづみ
  • 桜帆 ゆかり
  • 桜咲 彩花
  • 凪咲 星南
  • 仙名 彩世
  • 和海 しょう
  • 羽立 光来
  • 水美 舞斗
  • 柚香 光
  • 真鳳 つぐみ
  • 乙羽 映見
  • 朝月 希和
  • 更紗 那知
  • 矢吹 世奈
  • 春妃 うらら
  • 綺城 ひか理
  • 飛龍つかさ