[Zuka]宝塚歌劇団と阪急ブレーブス

宝塚歌劇団の経営状態についてちょいと調べてみた。昨年、急激に宝塚歌劇を観るようになり、まず気になったのは、宝塚歌劇団の経営状態。舞台に興味が無い頃でも、地元民として宝塚歌劇団のニュースには敏感なので、宝塚大劇場の観客動員数が100万人を割りそうというニュース(2011/2/12  読売新聞)は聞いていた。

ここで思い出すこと。阪急・東宝グループは、1988年に赤字体質だったプロ野球チーム:阪急ブレーブスをオリエント・リースに譲渡している。

伝え聞くところによると、当時の阪急・東宝グループの中で、阪急ブレーブスと宝塚歌劇団は、2大不採算部門で、「どら息子」と「金食い娘」と呼ばれ、グループは『どちらかの二者択一で、とうとう阪急ブレーブスを手放した』と言われている1

宝塚歌劇団は、阪急電鉄株式会社の直轄事業なので、基本的に損益は阪急電鉄会社として包含され、単体での経営状態が明らかになることはほとんどない。【決算公告】2を見ても、全体として黒字なのは間違いない。しかしその周辺を見てみると、宝塚歌劇団と同じ部署で管轄されている【宝塚ガーデンフィールズ】は利用者低迷で2013年12月に閉園することが決まっている3

かの劇団四季でさえ、京都や福岡の常時公演終了の要因は、入場者数の低下と言われているご時世である。宝塚ファンサイトやブログでは、歌劇団の迷走とか、儲け主義とか、まぁいろんな好き勝手な事を言って不安がっている。気になって少し(バックナンバーやらなんやら買いあさって)調べてみた。

結果として、経営に関しては詳細はわからないが、特別顧問 植田紳爾氏(元理事長(1996年~2004年))の経営改革により黒字化に成功したとのことであり、動向を見ていると独立採算化には成功している様子である。

…この「金食い娘」は近年大きな変身を遂げ、現在では年間数億円の利益を上げる「孝行娘」に変身し、百貨店不振等のあおりでかなり困難な経営状況にある阪急電鉄の決算に貢献している。
「僕が宝塚を愛でる理由(わけ)(3)」日本大学大学院総合社会情報研究科 国際情報専攻 4期生・修了 江口展之4

経営サイドが歌劇団に対して、強烈にテコ入れしているのは間違いないと思う。それは100周年を目前に控えてる、という事情もあるだろう。「100年を越えると、伝統芸能」という噂が流れていて、その根拠‥「伝統芸能の定義」等の調べがつかなかったのだが、法律的には「伝統芸能」となると、国・ 自治体からの何らかの支援を受けることも可能になると見られる。

国際的にも、女性だけの劇団で、養成校を持ち、商業ベースにのった定期公演を行い、専用劇場を有しているのは宝塚歌劇団のみのよう(調べは完全ではない)。「少女歌劇」と呼ばれて、「女子どもの見るモノ」扱いされていた時代から、伝統芸能への発展。偉業である。阪急電鉄創業者の小林一三逸翁のねらいと、それを受け継いで尽力してきた人たちのたまもので、歌劇団員(生徒・スタッフ)はもちろん、地元やファンにとっても誇らしいことだと思う。

公式な日本の伝統芸能の認定方法があるのかとか、私企業のやっている事業でも認められるのかとか、その辺りは知識不足でわからないけど、阪急ブレーブスを手放して守った歌劇団なのだから、ぜひとも立派に100周年を迎えて「伝統芸能」と呼ばれて欲しいと思う。まぁファンに出来るのは観劇に行って応援することくらいなのですが。

「文化芸術振興基本法(平成十三年十二月七日法律第百四十八号)」
第十条  国は、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎その他の我が国古来の伝統的な芸能(以下「伝統芸能」という。)の継承及び発展を図るため、伝統芸能の公演等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律(平成四年六月二十六日法律第八十八号)」
第二条 この法律において「地域伝統芸能等」とは、地域の民衆の生活の中で受け継がれ、当該地域の固有の歴史、文化等を色濃く反映した伝統的な芸能及び風俗慣習をいう。

  1. 伝説-スポーツ王国日本 歴史を作った者たち-宝塚歌劇との二者択一で…(日刊スポーツ January 25, 2008)
  2. 阪急電鉄株式会社
  3. 宝塚ガーデンフィールズ閉園へ 利用低迷で (2012/09/27  神戸新聞)
  4. 日本大学大学院総合社会情報研究科2004年12月1日 第18号「僕が宝塚を愛でる理由(わけ)(3)」国際情報専攻 4期生・修了 江口展之