ちょいと遅くなりましたが、花組東宝千秋楽翌日の15日(月)にトップ娘役・ゆきちゃん(仙名彩世)が2019年『CASANOVA』をもっての退団することが発表され、16日に退団会見がありました。
花組トップ娘役・仙名彩世 、2017年3月の全国ツアー『仮面のロマネスク』『EXCITER!!2017』がお披露目で、その後、大劇場作品『邪馬台国の風』、『ポーの一族』、『MESSIAH −異聞・天草四郎−』、『CASANOVA』で4作での退団になります。
花組トップ娘役・仙名彩世 退団記者会見 | 宝塚歌劇公式ホームページ
10月16日(火)、花組トップ娘役・仙名彩世が、祝祭喜歌劇『CASANOVA』(宝塚大劇場:2019年2月8日~3月11日、東京宝塚劇場:2019年3月29日~4月28日)をもって退団することを発表し、記者会見を行いました。
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ゆきちゃんの退団発表に寂しい思いでいっぱいです。
経験豊富な実力者であるゆきちゃんがトップ娘役になってくれて、みりおさん(明日海りお)が充実期に入って安定していったので、出来れば、みりおさんの退団まで一緒に居てほしい気はしていました。
ただ花組は2番手の組替えなどもあり、みりおさんのトップ在任期間が長くなったので、ゆきちゃんなりに気遣って考えたのかなと思わなくもないです。ゆきちゃんがみりおさんに退団を相談したのが、今年1月の「ポーの一族」公演時だそうですが、みりおさんに負荷がかかるのは理解した上で、それでもとゆきちゃんが決めたのなら、受け止めざるを得ないのでした。
トップ娘役に就いてからのゆきちゃんは宝塚の娘役という存在を愛し、宝塚の娘役であることを誇りに思い、自分のことではなくても娘役が褒められると我がことのように喜び、後輩たちにもそうであって欲しいと、自分が得たものを伝えていこうとする姿勢で常に立っていた気がしています。それはやはり、トップ娘役就任までの経緯も影響しているのだろうと思います。
退団発表絡みで、SNSで話題になったのは、「遅咲き」「ヒロイン経験が少ない」という文言でした。確かにゆきちゃんは新人公演ヒロインは未経験。敵役や汚れ役もあった。『フォーエバー・ガーシュイン』(2013年)でバウヒロインを務めたのが研6なので、他組の現トップ娘役の育てられ方~研5以下で新公ヒロイン、バウヒロイン、DCヒロインを経験の後にトップ娘役~からすると「遅咲き」です。
けれどもバウヒロイン後は、『風の次郎吉』(2015年)ヒロイン(桜咲 彩花とのWヒロイン)、『For the people 』(2016年)ヒロイン(理事の相手役)を経験してトップ娘役に就任しているので、立派なものだと思いますが、研9でのトップ娘役就任は異例で、発表時も驚きの声が聞こえました。
だから、その就任には何らかの力学(例えば誰かさんの希望とか)が働いたのかなとの憶測もあるのですが、何はともあれ、例外を認める度量が歌劇団にもあったのは喜ばしいことでした。
日刊スポーツの記事に書かれているように、「既存の宝塚のヒロイン像とは一線を画し、明日海とともに新たなトップコンビ像を提示した」と私は思っているし、ゆきちゃんだから、あのシーラ・ポーツネル男爵夫人があり、あの『ポーの一族』という舞台になったと思っています。
ショーでも仙名彩世が率いる名場面がいくつも生まれています。『Santé!!』の『リシュブール(ヨード)』の“エイト・シャルマン”や、『BEAUTIFUL GARDEN』でのガーシュイン ”S ’ woderful” 。『BEAUTIFUL GARDEN』では花美乙女Sのピンクと黒を基調にした豪奢なドレスを着たゆきちゃんは花の女神そのもので、あのドレス(動きにくそうだったけれど)をゆきちゃんに着せてくれた野口先生の愛に感謝したい。
どうか退団公演が素敵なものとなりますように。
遅咲きゆえ「卒業ずっと意識」宝塚トップ娘役・仙名彩世:朝日新聞デジタル
自らの娘役人生を振り返り、「下級生の頃から個性的な役もさせていただいて、『ヒロイン経験が少ないことを負い目に感じることはしないようにしよう』と思っていました。すべてを糧にして自分なりの娘役像をつくっていきたい。それが変わらずにありました」と思いを語った。
10年で一人前とされる男役に比べ、娘役は出世が早いのが宝塚の通例だ。就任までに悪役もこなし、トップに就いた後も、既存の宝塚のヒロイン像とは一線を画し、明日海とともに新たなトップコンビ像を提示した。