[Zuka] 星組『ANOTHER WORLD』(3)同じ阿呆なら

星組大劇場公演、千秋楽(6/4)おめでとうございます。星組の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。とっても楽しい公演でした。東京公演までしばしの休養を。

十碧れいや様、白鳥ゆりや様、ご卒業おめでとうございます。幸せと楽しさをありがとう。これからの人生にも幸多きことを、お祈り申し上げます。

季節は夏に向かいますが、熱い熱い演目2本を東京公演千秋楽まで極めていけますように。大阪と東京では笑いのツボが違うらしいですよ。

私、今回は自己新記録の観劇回数となりました。毎回毎回楽しかったけれど、千秋楽は仕事で観劇できずしんみりして、つわものどもが夢の跡という気分でした。翌日は『1789』を観劇して、心機一転。がんばろ。

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5月30日~6月1日にかけて、スカイステージで『ANOTHER WORLD』Stage Side Watch Part 1~3が放送されました。出演者は、ゲストの5代目桂米團治さん(落語家)、星組から万里柚美組長・かいちゃん(七海ひろき)・みほちゃん(有沙瞳)の4人。みんなお着物です。すてき♡

米團治さんは、収録日に観劇され、『ANOTHER WORLD』は谷正純先生の作品の中でこれが一番良かった、谷作品の集大成、生きてて良かったとたいそうお喜びでした。『地獄八景亡者戯』という噺をこうするかと感動も納得も驚きもされ、『朝友』(今はほとんど誰もやらない作品らしい)、『死ぬなら今』、『崇徳院』の取り込み方も、それから芝居での関西弁も褒めておられました。

関西弁を褒めて貰って、明らかにホッとする茨城県水戸市出身の七海ひろき!

「喜六」の発音には突っ込まれてましたが、自分の名前は言わないからと焦りながら、米團治さんに発音を教えて貰って修正していました。キ“ロク“(下がる↓)ではなく、キロク(平板→)。

米團治さんは、紅ゆずるさんあってこその作品とも話されましたが、それは本当にそうで、谷先生が紅さんと綺咲愛里さんに宛てて書いた逸品だと思うのですよ。

柚長は大阪府東大阪市出身で、みほちゃんは三重県鈴鹿市。船場言葉だから関西弁ともやや異なるはずですが、柚長や大阪府大阪市出身の紅さんはまだマシで、兵庫県川西市出身のあーちゃんもまだいいのかな。他はかなり関西弁に苦心しているようです。もっとも苦心しているのは秋田県秋田市出身の天寿光希さんという噂を聞きました。

柚長は、康次郎の母・於登勢を「母は強し」だと思っていたら、谷先生に「ラスボス」だと言われたそうです。うーん、最後に閻魔大王様に勝つからラスボスかもしれないけれど、「大事な息子に、何するんや!」と勝ち負けを考えずに向かっていくというのはやっぱり「母は強し」だと思うのですが。谷先生は家庭内のラスボスは母だという考えなのかな(それは何かを物語っているのか)。父・金兵衛(美稀 千種)はどういう位置づけなんだろう。冥土歌劇団のトップスターか。

米團治さんが、みほちゃんの初音の登場を、「おきゃんで登場した瞬間に性格まで表現されていた」と褒めておられましたが、私はその褒め方にさすが米團治さんと思いました。ひと言でみほちゃんの初音の演技の良さを表していた。初音もね、人形振り以外の場面では、大きな役割がないから居方が難しいけれど、身振り手振りで性格が出てますよ。啖呵良く、度量がある初音はん。

かいちゃんが米團治さんに阿呆の喜六の演じ方について訊ねると、「紅ゆずるさんのようにやったら、どうですか」と。米團治さん、紅さんのお芝居がよほどお気に召したんだなと思いました。続けて「あの方は、とことん喜六的なところがありますよ。一つ言って、なにか余計な動きをする」。これを関西弁で、ちょかちょか #weblio や いっちょかみ #weblio と言われていましたが、上方の噺家さん的な表現だなと思いました。

えーっと、タカラヅカ的表現だと、好奇心旺盛で何でもトライし、どんな役でもやってみたい、オラオラ系?

個人的には、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」という阿波踊りのフレーズが阿呆の喜六っぽくて好きです。ナンセンスかもしれないけれど愚かしいほどに徹する事によって生み出されるもの。同じ阿呆なんやったら、やってみたもん勝ちや!っていう。確かに紅さんっぽいな。七海ひろき的ではない。

Part 2では、柚長とかいちゃんのリクエストで、地獄八景亡者戯から導入の喜六部分をやってくださいましたが、表情の変化、身振り手振り、声音の変化がさすが素晴らしい。プロフェッショナルの技だ。これは落語を聞きに行くしか。

余談。月組『カンパニー』ではバレエが取り上げられましたが、宝塚歌劇でバレエを踊っても、私はバレエ公演を観に行こうとは思わず、宝塚歌劇を見てしまう。けれど『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』でKカンパニーのプリンシパル宮尾俊太郎さんが躍るのを見て、これはバレエを見なければと思い、バレエ公演のチケットをサクッと購入し、プロフェッショナルの技というのはそういうものなんだと思い知らされました。タカラジェンヌはやっぱり宝塚歌劇のプロだから。

Part 3 米團治さんの提案は、冥土歌劇団で「わー、本日の主演、春日野八千代さんや」「春日野八千代やで」「えー見たい」と伝説の方のお名前が出ても良いかなとちょっと思いましたと。米團治さんは、書道の手習いの関係で故・春日野八千代さんと晩年までお付き合いをされていて、本名の石井さん呼びが自然で、親しさを感じさせました。「欲張りやから」という口調が懐かしげで少ししんみり。

米團治さんは、宝塚歌劇も長く観劇されているそうで番組で大階段にノリノリで立ったことがあるとか。それから谷先生には落語の悲恋もの『たちぎれ線香』を谷先生にいつか宝塚歌劇でやって欲しいとリクエストされました。落語と宝塚歌劇、夢が広がる。

米團治さん、最後にかいちゃんの喜六の発音をチェック。OK出しをして〆。オチもカンペキでした。おさすがです。

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落語と宝塚歌劇といえば、TOKYO MX「タカラヅカカフェブレイク」に毎回、立川らく次さんが出演されていますが、ちょうど7月には下記の落語会も催されるようです。

チケットをサクッと購入しました。2階席だけれど、まぁ大丈夫でしょう。