月組公演 『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』『クルンテープ 天使の都』東京宝塚劇場公演、大千秋楽おめでとうございます。
新トップコンビの大劇場お披露目公演であり、2番手男役の退団公演ですが、楽曲差し替え、月城かなとの休演、珠城りょうの不調などがあり、月組にとって試練の公演でしたが、なんとか千秋楽にたどり着いて安堵しています。
代役の皆様、お疲れさまでした。月城さんは焦らず、怪我をきっちり治して舞台に戻ってきてください。
そして、美弥 るりか様、響れおな様、玲実くれあ様、音風せいや様
ご卒業おめでとうございます。幸せと楽しさをありがとう。今日の終わりまで充実したものとなりますように。
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6月9日。東京は7日に梅雨入りし、紫陽花が美しい季節となりました。東京宝塚劇場の月組公演千秋楽をもって、17年目の男役スター・月組2番手の美弥るりかが、宝塚歌劇団を退団する。
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月組組長の光月るうが名付けた二つ名のとおり、宝塚歌劇団における自らの愛の形を探し求めた愛の巡礼、美弥るりか。
身長168cm、入団前はバレエに熱中していたというしなやかで華奢な体つきに、細いあごと憂いを秘めた美しい大きな瞳がチャームポイント。美弥が憧れる涼風真世や同期の明日海りおと同じように、いわゆるフェアリータイプそのものの男役。
龍真咲の退団とともに珠城りょうが月組トップスターに就き、美弥るりかが月組2番手になった時は嬉しかった。それまでの経緯を見ていると、凪七と美弥がトップスター路線という扱いではないと(密かに)思っていたからだ。2番手就任が次期トップスター就任を約束されたものではないとはいえ、最も近い位置にあるのは確かである。
だが、一抹の不安もあった。トップスターに就いたのは「天海祐希以来のスピード昇格」という若さの研9の珠城りょう。研15の美弥るりかが、いつまで待てるのか。
【念の為。たまきさんの器や人柄はトップスターに相応しいと思うし、就任に不満はない。私の基準で見ると、男役としては未熟なところがあるトップスターの就任ではあったが、それは経験を積む間に解決されていくこと。(男役として円熟期で就任って研15くらいになってしまう)。就任時から早期退団の噂も耳にしたりして、彼女にとって厳しい風当たりもあったと思う。美園さくらと月組をもり立てて行ってくれることを願う。】
番手付きや路線スターになることが宝塚の全てではないとはいえ、2番手ともなると本公演では大役がつくし、スカイステージ番組などでも露出は増え、主演作やディナーショーの機会もある。タカラジェンヌ、舞台人としては大きな夢であろう。その夢の実現を慎み深く「今までの応援に恩返しができる」と喜んでいた美弥を思い出すと、2番手のままでの退団で、彼女が気にしているのは、嘆くファンのことなのだろうと思う。
ラストのお茶会では「笑顔で。泣かない」とファンと約束したという。ファンを笑顔にするために舞台の充実に、己の道に、力を尽くす。それが美弥るりかが探し当てた愛の形なのだ。
男役として満を持して2番手に就いてからの美弥が演じる役は男役であれ女役であれ、どれも完成度が高かった。これまでに放送されたインタビューや記事を見るにつけ、詳細な自己分析のうえに、周到に役作りし、細やかに準備して舞台に立つ、クレバーな人だと思う。
芝居についての言葉(大意)を開いてみると、美弥の軌跡が伺える。
「浮かれるようなことはなかった」
「自分のオリジナリティを出していくことが大事」
「私には(男役)10年では短かった」
「(アーサー王での女役に)役者として、男女の枠を超えて考え始めた」
その言葉どおりに、
オットー・クリンゲライン(『グランド・ホテル』)、
シモン/ サン・ジェルマン伯(『瑠璃色の刻』)、
アラミス(『All for One』)、
高野悠(『カンパニー』)/スイートハート(『BADDY』)、
コズモ・ブラウン(『雨に唄えば』)、
フランツ・ヨーゼフ(『エリザベート』)、
アレクセイ・ヴィロンスキー伯爵(『『Anna Karenina』)。
どの役もどの役も、美弥るりかならではの妖艶さと愛と穏やかさと包容力で味付けされた。大型犬タイプが多い今の月組にあって、猫タイプの華やかさと奇抜さを持ち、個性派でならした。
そうして彼女の中で決断がなされ、退団が発表された。
サン・ジェルマン伯は、時空の流れに逆らわず、新たな世界に旅立つことを決めてしまった。
宮本武蔵の成長を楽しみにするかのような佐々木小次郎(『夢限無双』)と珠城りょうとユニゾンで2人舞った蓮の花を残して。
珠城りょうを「りょうちゃん」と呼んでリスペクトし、お互いに輝いた麗しい人・美弥るりか。
今日の入りで美弥ちゃん自身が泣きぬれていたそうですが、ファンとしては今日の千秋楽を無事に見送り、麗人・美弥るりかの再起動を待ちたい。
「退団したときが、その人にとって最適のときになる」と私に言ってくれた友人がいるのですが、そう思いたいし、そうなるようにと思っています。
ご卒業おめでとうございます。長い間、お疲れさまでした。幸せと楽しさをありがとうございます。どうかお体を大事にしてください。
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レビュー・エキゾチカ『クルンテープ 天使の都』については、これが大劇場お披露目公演となった新トップ娘役・美園さくらに、珠城さんがブーケを渡す結婚の場面があったのと、『cha cha SING』が差し替えになって『セ・マニフィーク』になっちゃいましたが、男達の真ん中で歌って踊る、さくさくがめっかわだった(必死さも見えましたが)のが嬉しくて、大介先生、ありがとう、と思ったのが本当のところです。『cha cha SING』が好きだったので差し替えは残念ですが、藤井大介は音声カットにしないように努力してくれたと思っています。公演開始前に著作権関係を整備するのは時間的に余裕が無いのでしょうか。公演中に新たにお稽古するのは生徒も大変だと思います。