[Zuka] 月組バウ公演『Arkadia -アルカディア-』

ありちゃん(暁千星)の初バウ単独主演作品。千秋楽(12/12)おめでとうございます。観劇したのは前楽でした。

作・演出の樫畑 亜依子氏は琴ちゃん(礼真琴)主演の『鈴蘭』に次ぐバウホール公演2作目。若手の座付き作家が月組の若手のために書き下ろした作品で、主要キャストはばっちり当て書きになっていました。

ありちゃんは、たまきさんの月組で大らかに育っているなと月組観劇のたびに思うわけですが、博多座公演『長崎しぐれ坂』では轟理事の伊佐次と共に、らしゃ(暁 千星)として登場し、そのスターオーラが確実に大きくなっているのが見て取れました。美園さくらちゃんも大きいソロ(精霊流し)があったし、たまきさんとちゃぴのお芝居はすきだし、博多座公演は楽しかった。

さてと、『アルカディア』。

メモ的に。

  • 設定に無理があって、それがストーリーをややこしくしているけれど、最もややこしい部分を、光月るう・白雪さち花・夏月 都という芝居巧者達に負わせていて、その配置が効き、彼らが判りづらい部分をものにしてドラマを創り上げていた。
  • 伏線というかギミック的な符牒(椿姫や”仔猫”、愛人契的なもの)は入れなかったほうが良かった気がする。物語の方向性を混乱させた。
  • 案内兼整理役として第三者視点の探偵を配置したのは良かった。大人グループ(光月るう・白雪さち花・夏月 都)、アルカディアグループを繋ぐ役目を果たしていた。

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(あらすじ)

舞台は、1970年代のフランス・リヨンにある”華やかでありながら退廃的な雰囲気を湛えたナイトクラブ「アルカディア」。支配人ケヴィン(貴澄 隼人)とスタイリストのドミニク(晴音 アキ)が経営を切り盛りし、No.1ダンサー・ダリア(美園 さくら)に惹かれて集まる上客達によって店は成り立っている。ダリアは親の病気のために店に借金があり、パリで女優になる夢を諦めてアルカディアで毎夜を過ごしている。夜ごと、花束を捧げる上客達から一人を選び、テーブルにつく。彼女がアルカディアに入るときに自分の自由になったことは、たったひとつ。「ダリア」という源氏名をつけることだけ。

ある晩、店からの帰り道、ダリアはずぶ濡れで行き倒れている少年(暁 千星)を見つけ、家に泊める。翌朝、行きところがないので置いて欲しいという少年にダリアはミネット(仔猫)と名付け、居候を許可する。

ミネットと名付けられた少年は、乾いた服に日当たりの心地よい良い部屋にいられることを喜び、ダリアのために何でもすると申し出る。ミネットは母親に反抗し、8歳で家を出て、あちこちに転がり込んで、雑用を手伝うことで養って貰ってきていた。最新で追い出されたのは、転がり込んでいた家の奥さんと遊んでいたら、旦那に見つかったのだという。ミネットの申し出を、ダリアは、見返りはいらない、だからといって「追い出せないわ」と心外そうに断る。

ダリアは、自分の源氏名は、椿姫のマルグリットにまつわると由来を話し、ミネットが椿姫を知っていることを驚き、彼が踊れることを発見する。

23歳のナイトクラブの花形ダンサーと15~17歳の身寄りのない少年の、内実はどうあれ、「同棲」。この事実は、ダリアの幼馴染みのフェリ:フェリクス(輝生 かなで)やアルカディアに出資を申し出たジャン=ポール・ヴァロー(光月るう)らの懸念を呼ぶことになる。

彼らの懸念をよそにミネットはダリアの推挙で、アルカディアのダンサーとしてデビューし、あっという間にスターダンサーとなった。

物語の軸はもうひとつあり、そちらは探偵のカミーユ(風間 柚乃)と元アルカディアの従業員で押しかけ助手のジョス(礼華 はる)が担う。カミーユはルネという元高級娼婦の行方を捜していた。エミールというダンサーと結婚したが、彼の死によって一人残されたルネという女性を求めて、二人はアルカディアの周辺をうろつき、ミネットとのケンカで怪我をし、アルカディアを辞めたフェリと出会う。フェリはミネットが落としたネックレスを持っており、そのネックレスには「ジャンからルネへ」と刻印された指輪がついていた。