[tweet] 台湾公演と人口減少社会

『宝塚歌劇団台湾公演』制作記者会見が1月30日に行われ、テレビや新聞にも取り上げられていた。報道では、今回の公演で、チケット販売や広告宣伝活動などの海外公演のノウハウを獲得し、本格的に海外に進出する計画だとのこと。

国内での宝塚歌劇の観客動員数が減少傾向のため、新たな観客を海外で獲得する目的があるという。

台湾は、中華人民共和国との政治絡みではややこしい所だが、日本とは関係が深く親日的だと言われている。東日本大震災が起きた直後には、台湾から莫大な義援金が寄せられたのは記憶に新しい。距離や文化的な親和性などを考えても、台湾は、文化交流のための公演先としても、宝塚歌劇団の本格的な海外進出先としても、妥当のような気がする(特に昨年は中国や韓国とは、領有権をめぐってアレコレオあったし)。

日本は少子高齢化・人口減少社会で、国内で観客を増やそうとしても、絶対数が減っていく。今後、消費行動が盛んな生産年齢人口(15~64歳人口)は確実に減る。

2025年推計で、生産年齢人口が全人口に占める比率を見ると、日本は58.1%、中国70.3%、韓国66.1%、アメリカ62.4%で、21カ国のうち60%切っているのは、日本のみである(台湾未掲載)。(→『データブック国際労働比較』)

観客動員数を増やす=事業としての持続性を維持していくためには、海外公演のノウハウを蓄積しておくことは必要だろう。国内でも観客増のためにまだ出来ることはあると思うが、宝塚歌劇団が販売できるコンテンツは「歌劇」のみなので、標的とする市場を増やしていくためには、海外進出しかない(←自分でもなんだが、偉そう。でもかなりマジ)。

それでもって、先進諸国で販売されているコンテンツは一定のレベルをクリアしているのが当たり前なので、公演の質を高めていくのは命題として必然だ。検討の余地なし。

台湾公演の演目として、お芝居が古龍の楚留香シリーズなのは良いチョイスだと思う。『楚留香 蝙蝠伝奇』(古龍 小学館文庫・絶版)は、時代劇っぽいんだけど、面白かった(残念ながら手元にはない)。脚本・演出は小柳奈穂子先生なのでセンス良く仕上がりそう。一つだけ気になるのは台湾公演の特設サイトが日本語のみなことですね。(→宝塚歌劇団台湾公演特設サイト

人口推計については、本業が絡む部分なので、ちょっと真面目にデータ引用してみた。2060年の人口ピラミッド推計は見るのも恐い逆ピラミッドだ。

(参考)人口ピラミッド 国立社会保障・人口問題研究所) 
水色部分が15~64歳人口

1980年
1980年

2000年
2000年

2025年
2025年