[diary] COVID-19パンデミック雑記(63)ワクチン接種率と規制緩和~子どもの感染

この投稿をInstagramで見る

宮本 啓子(@mymkeiko)がシェアした投稿

国内の新型コロナワクチン2回接種率が55%を越え、新規感染者数は全国的に減少しています。医療ひっ迫度合いも改善しており、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の解除が視野に入ってきました。みんな、ほんとにしんどいとこお疲れ様です。がんばろうね。

ワクチン接種率が上昇すると、規制や制限を緩和する国が多いのですが、緩和すると感染拡大が始まります。10月中は都心部や歓楽街では、まん延防止等重点措置を適用してワクチン接種を普及させるほうがいいのではないかと思います。

一般向けの新型コロナワクチン接種機会は10月末くらいで激減します。12月から医療従事者ら104万人を対象に3回目接種に入ります。11月からインフルエンザワクチンの接種も本格化します。医療従事者、高齢者優先です。

接種率80%を越えるシンガポールではデルタ株が広がり、新規陽性報告(感染者数)が増加しています。ワクチンの接種効果で重症化や死者数は抑えられていますが、人との接触削減は推奨されています。


イスラエルの感染状況

ワクチン接種先進国のイスラエルは、5月には2回接種率60%近くなり、新規感染者数や死亡者数が1桁になっていました。そこで感染拡大防止のための規制を6月1日にほぼ撤廃。ところが6月下旬には、子どもの学校感染が発火点となって、ワクチン適用範囲外(当時)だった15歳以下の子供に感染が広がり、現在「9月14日の新規感染者数は1万730人、直近7日間の平均は1万1027人」(イスラエルの人口は約934万人)。1日の新規要請報告数は減少はして来ましたが、第4波渦中にあります。

ワクチン効果を持続させるためのブースター接種(3回目の接種)も進んでいますが、未接種者の人たちに感染が拡大しました。


イギリスの感染状況

ワクチン接種が進んだ国では同様の傾向が見られます。早期からワクチン接種を積極的に推進し、2回接種53%を越えた7月19日に規制を全面的に解除したイギリスでもワクチン未接種の子どもに感染が広がっています。

イギリスの学童(5~14歳)の間での新規感染者数は記録的な過去最多になっています。Covid cases among England’s schoolchildren hit record peak.  Financial Times より図

Covid cases among England’s schoolchildren hit record peak

アメリカ合衆国の感染状況

アメリカは州によって様相が異なるようです。ニューヨーク市では、9月14日から、ブロードウェー(Broadway)ミュージカルが本格的に再開しました。ワクチンの接種証明の提示や劇場内でのマスク着用が義務づけられたとのこと。うまくいきますように!

その一方で、子どもの感染が増加し、米国小児科学会(AAP)は全米規模で報告される感染者総数の約29%を占めるまでの事態になっていると発表。

ニューヨーク市では検査を拡充し、生徒や教職員への抜き打ち検査を隔週から毎週に見直し、マスクの着用とディスタンスによって対面授業を継続する方向だそうです。◆新型コロナ: 米、検査拡充で学校「対面」継続 子どもの感染増に対応: 日本経済新聞 (2021年9月23日)

米製薬企業ファイザー社は、新型コロナワクチンを、5歳から11歳の子どもに適用範囲を拡大するようFDAに申請の方針です。


日本でも子ども感染増加

日本でも、子どもの感染が増加し、保育施設の休園や学級閉鎖や休校がおきています。

新型コロナワクチンの接種について日本小児学会は、「子どもに関わる業務従事者等へのワクチン接種が重要」、「先行する成人への接種状況を踏まえて慎重に実施されることが望ましく」という見解を公表しています。

私も、まず子どもに関わる教員や保育士等の大人がワクチンを接種することが重要と考えます。伝播は大人から子ども起こるほうが多いです。子どもから大人にも伝わりますが、子どもの行動範囲は限られており、重症化率は大人より低い。まず大人がワクチン2回接種を行うことによって、自分と周りの感染リスクを下げることが優先でしょう。

子どもの自殺が増え、相談件数も増大しているようです。部活やサークル活動ではクラスターが多発し、活動が制限されています。これ以上の学校生活の制限(一斉休校など)は行き場、居場所の減少に繋がります。

大人も子どもも少しでも体調に変化を感じたら、休む、検査を受けるなどの体制確保が重要になります。環境整備の一環として教育現場の人員補助も公的な支援が必要かもしれません。

米国ではファイザー社製ワクチンの5歳~11歳の子どもの有効性データが公表されました。子どもの重症化リスクは低く、低年齢の子ども達へのワクチン接種は慎重に検討されるべきと思います。

ただ個人的には、過去に軽症だった若年者でも後遺症(longCOVID-19)が報告されていることを考えると子どもにも感染防御の手段として重要なのではないかとは思います。

今のところは、可能な限り、大人が子ども達を守る体制を構築し、12歳以上であればワクチン接種をおすすめします。

臨床試験では、5歳から11歳までの2268人を対象に、通常の3分の1の量の成分が含まれたワクチンを2回接種。
1か月後にウイルスの働きを抑える中和抗体の値を調べたところ、強い免疫反応が確認されたとしています。
中和抗体の値は、16歳から25歳が通常の量の成分が含まれたワクチンの投与を受けた場合と変わらず、副反応もおおむね同様だったということで、接種の対象をこの年齢に拡大するよう、近く、FDA=食品医薬品局に申請するとしています。

子どもへのワクチン 5歳以上に?メリット リスク どう考える? | NHKニュース |2021年9月22日


まとめ

  • 新型コロナワクチン2回接種率が50%を越えても、規制を緩和/解除すると感染が拡大する。
  • 感染は主にワクチン未接種者の間で広がる。
  • 重症化リスク、死亡リスクは接種済みより未接種のほうが高い。
  • 接触削減、マスク着用、飛沫回避、三密(密集 密接 密閉)回避=距離、人数規制、換気強化はまだまだ必要
  • ワクチン・検査パッケージの活用を検討し、システムを構築
  • ワクチン未接種者、子どもを守る社会を!

参考)1日当たりの新規陽性者数/10万人と総人口における2回(full)ワクチン接種率

1日当たりの新規陽性者数/10万人と総人口における2回(full)ワクチン接種率

図2)1日当たりの死者数/10万人と2回(full)ワクチン接種率

1日当たりの死者数/10万人と2回(full)ワクチン接種率