3回目の観劇が、5/21のe+貸切公演でした。2階B席でまったりと観劇しましたが、2階のほうが初舞台生のロケットはフォーメーションがきれいに見えるんでしょね。ハート型から上手と下手に動いていく姿が流れるよう。
花組版を観劇したときは、まだ宝塚歌劇を見始めたばかりで単純に楽しかった。
宙組版を観劇して、演出も細かいバージョンアップがなされていますが、キャストが変わると違うものに見える。
*5/25(土)よる9:00
*6/12(水)午前11:00
*6/26(水)深夜2:10
七海ひろき:宝塚退団後初仕事はWOWOW番組ナレーター 「宙組への愛を込めて…」 @mantanweb
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『オーシャンズ11』は、天才詐欺師・泥棒のダニー・オーシャン(真風涼帆)が相棒のラスティー・ライアン(芹香斗亜)と10人の仲間達と共に、ラスベガスで頭角を現してきたカジノホテルのオーナー・テリー・ベネディクト(桜木みなと)を相手取って(騙して)、金庫の売上を強奪するコンゲームを時間軸に、ダニーが絶縁状態の妻テス(星風まどか)をベネディクトから取り戻そうとする復縁騒動を絡めている。
コンゲームはconfidence gameの略。詐欺師が一般の人々を信用詐欺で騙すのは犯罪だが、犯罪者同士のコンゲームは狐と狸の化かし合いみたいな、知恵比べの様相を呈する。
コンゲーム映画や小説はたくさんあって、悪党と悪党のデッドヒート、主役が相手を手際よく出し抜いて一種の爽快感をもたらす結末が用意され、見ている側の「え、それ犯罪じゃないの?」みたいな戸惑いには配慮されない。なぜなら、コンゲームとはそういうものだからです(キリッ)。
カジノやラスベガスが舞台になるというのは、やっぱり賭博って、合法でも金銭を賭けるスリルとクールさと一攫千金のヤバみが根底にあるんだろうなぁ、と思ったりします。賭博は最終的には親が強いと思われるので、「他人の夢を貪る奴」=ベネディクトがここでは悪役。
映画『オーシャンズ11』を見た後に、宝塚版『オーシャンズ11』を見ると脚本・演出の小池修一郎氏はさすがに宝塚と外部の双方を知っている座付き作家で、映画のあのスピード感を舞台化した手腕はお見事の一言に突きます。小池脚本は、台詞や感情の流れがたまに唐突だったりするのですが、キャストが演技で何とでもしてしまう範囲なので、そこはそれで面白い。
楽曲も良い。海外ミュージカルではないために、楽曲は全て宝塚歌劇オリジナル「作詞:小池修一郎、作曲・編曲:太田健、編曲:青木朝子」で、FATE CITYやNEVER GIVE UPなどなどが出来上がっていると思うと興奮する。
宝塚版の『オーシャンズ11」で、ダニーがベネディクトを引っ掛けようとする究極の目的はテスの奪還、仲間を集める以上は金が必要になるし、ついでに金が入れば言うことなし。映画の『オーシャンズ11』はカジノダーゲットで始まるので、テスが延々と出てこない。出てきたと思ったらベネディクトの経営する美術館の館長でドレスも着ないし、歌わない。
映画『オーシャンズ11』は野郎どもの世界だった。
宝塚版では、テスを緑地再生プロジェクトのイメージキャラクターで歌手にして、コンゲームの勝敗を左右する役割を振って物語上のウエートを高めている。
ラスティーには恋人役のエル・チョクロのポーラ(遥羽らら)がいて、オーシャンズ11は、ベネディクト達に地上げされそうなエル・チョクロを救うという役割も負う。それから、ダニーが引っ張り込んだ、ライナス・コールドウェル(和希そら)の自立支援の役割も。
「歌劇」の座談会で小池先生が、リヴィングストン役の瑠風輝に「人の役にって…犯罪ですよ(笑)」とコメントしているのですが、善悪ではなく、自分のミッションを完遂する喜びと同時に、誰かを助ける誇りを味わって、それぞれが自立していく物語なのかなと思う宝塚版オーシャンズ11。
今回の宙組版では、桜木みなとのベネディクトが存外、人が好くて、カジノのオーナーとして「手段を選ばない」と凄みを利かせているけれど、地道に積み重ねてランクアップしてきた青年実業家で、どちらかというと腕力で今の地位を築いたというより、クイーン・ダイアナ(純矢ちとせ)を担いでショービジネスでのし上がったけれど、ダイアナがだんだん手に負えなくなってきて、テスに鞍替えしようと思ったら、ダニーの尾を踏んだみたいな、踏んだり蹴ったり感があって、面白い。
悪役は本当に難しい。本作では、ベネディクト vs.オーシャンズ11だから、ずんちゃんには高いハードルへの挑戦だと思います。更にタフでしたたかな手強さが充満していってくれればいいのかな。