日本青年会館、初日おめでとうございます。前評判も高く、実際に始まってみたら、ますます大人気。梅芸シアター・ドラマシティで観劇できて良かったよ。
一番観じたのは、みっさま、北翔 海莉の底知れぬパワー。成長著しい花組の中堅、下級生のエネルギーを一つの方向にまとめ上げて、舞台の真ん中で仕切り通した。主演としての並々ならぬ精進を、努力を、苦心を、つゆほどにも面に見せない。軽々と舞い、軽々と立ち回りをこなし、軽々と笑いを取る、全身で泣き、全身で笑う。観客を渦に巻き込む。
いやもうほんと、みっさま、だなぁ。
大人数で賑やかで楽しくて、義理と人情が溢れていて、体力と頭脳をものすごく使うであろう演目を、ばっちり決めてきた。みっさまならではの演目というか、あて書きが嬉しい。
専科の北翔 海莉は、鼠小僧みたいに各組を駆けずり回って助っ人に回る義侠心にあふれた江戸っ子(松戸っこだけど)なので、昔惚れた女と馴染みのマジメで気のいい町衆を助けるために、お江戸駆け回る次郎吉が重なった。
日舞とか三味線とか、立ち回りとか、多芸ぶりもたっぷり披露してくれて、自由自在だった。
さて、みっさま、トップスターになるとどうなるんでしょう。今ままでは、流しの転校生みたいな専科からの特出で、割合と自由な立場だったけれど、トップスターともなると、見得を張るのも仕事のうちで、実際にみっさまがどんな顔を見せてくれるのか、2015年最大の楽しみかもしれない。
■主演・・・(専科)北翔 海莉
『風の次郎吉 ―大江戸夜飛翔―』
作・演出/齋藤 吉正
[解 説]
江戸時代後期、金満商家や私腹を肥やす武家屋敷で窃盗を繰り返し、その金を貧しくも善良な町人たちに分け与えていた伝説の義賊、鼠小僧次郎吉。
このあまりにも有名な時代劇のヒーローを巡る若き日の遠山金四郎との対峙と男同士の友情、また彼らを取り巻く恋模様も盛り込んだ、新時代の革新的日本物ミュージカルとしてお楽しみ頂く、“宝塚版鼠小僧”の登場です。